Notionを「生活OS」にする試み ― NLOS v1.1で入口を自由にした話
2026-03-29

はじめに
前回の記事で、Notionを「生活OS」として運用するフレームワーク「NLOS(Notion Life Operating System)」を紹介しました。あれから2週間ほど運用してみて、「ここは変えたほうがいいな」と思うところが出てきたので、v1.1としてアップデートした話を書いていきます。
この記事はv1.0の続編ですが、NLOSの概要もおさらいするのでこの記事単体でも読むことができます。
フレームワークって、作った直後は「とりあえずこれで回るだろう」と思うものですが、実際に回してみると「あれ、ここ回り道してるな」みたいな部分が見えてきます。NLOSもまさにそうでした。
NLOS(v1.0)のおさらい
NLOSは5つのデータベースで構成されています。
| DB | 役割 |
|---|---|
| Notes | メモ、設計、記録などの保管庫 |
| Task | 課題・成果の管理単位。工数見積や期間管理を持つ |
| Todo | 「今日・明日やること」の短期実行枠。カレンダー連携の正本 |
| Project | 複数のTaskを束ねる成果の器 |
| Journal | 生活ログ。日記や振り返り |
NotesとTaskは双方向リレーションで繋がっていて、Taskを進める中で生まれたメモや設計はNotesに記録されます。あとから「このTaskの時に何を考えていたか」を辿れるのが便利です。

タグの2層構造
Notesの管理にはタグを使っています。
状態タグ ― ノートが今どのフェーズにいるか
- inbox:未処理(キャプチャ直後)
- seed:Task/Todoに振り分け済み(起点として保持)
- hold:保留(週次レビュー対象)
- archive:不要/終了(保管のみ)
内容タグ ― ノートの中身の性質
- memo:短いメモ、途中経過
- document:設計・仕様・結論など、参照価値が高いもの
「今どうすべきか」と「何が書いてあるか」を分けて管理できるのがこのタグ体系のポイントです。
v1.0の肝:Notes起点のNLOS Loop
v1.0では「すべてはNotesから始まる」をルールにしていました。何か思いついたら、まずNotesにinboxで入れる。そこから行動が必要か判定して、必要ならTask/Todoに変換する。
これはGTDの「まずキャプチャして、あとから振り分ける」という考え方を取り入れたもので、「これはTaskかな、Todoかな」と迷う時間を減らすのが狙いでした。
詳しくは前回の記事で書いているので、気になる方はそちらを見てください。
v1.0を2週間運用して見えた課題
v1.0を実際に回してみると、理想と現実のギャップが見えてきました。
起点はNotesじゃなかった
自分の1日を振り返ると、起きている時間のうち仕事の割合が大きいです。仕事中はプロジェクトのページを開いて、そこからTaskを追加して、工数見積や期間を設定して、NotionカレンダーからTodoを作る。この流れが一番自然でした。
つまり、ページ追加の起点はNotesではなくTaskだったんです。
「今日やること」も同じで、Notes経由ではなくNotionカレンダーからTodo直接作成が多かった。明確にやることが決まっているのに、わざわざNotesに書いてからTask/Todoに変換するのは回り道でしかない。
GTDの「Ubiquitous Capture」に反していた
ここで思い出したのがGTDの原則です。GTDでは「入口は1つに限定しない」が基本。キャプチャの摩擦をできるだけ減らすことが大事で、入口を限定すると逆効果になる。
v1.0の「すべてはNotesから」は、GTDの考え方を取り入れたつもりが、肝心の「Ubiquitous Capture」に反していました。
入口を限定すると何が起きるか。
- 摩擦が増える → そもそもキャプチャしなくなる
- 明確なタスクまでNotesを経由させられる → 非効率
フレームワークを作った時は「Notes起点で統一するのがシンプルでいい」と思っていたのですが、実運用では「シンプル」と「摩擦が少ない」は別物でした。
v1.1で変えたこと
1. Multi-Entry方式の採用
v1.1での一番大きな変更がこれです。「すべてはNotesから」をやめて、「状況に応じた最適な入口を選ぶ」にしました。

3つの入口にはそれぞれ役割があります。
パターンA: Task起点(仕事で最も多い)
Project配下でTask作成 → 工数見積・期間設定 → NotionカレンダーでTodo追加 → 実行中にNotesを追加
パターンB: Todo起点(今日やることが明確)
NotionカレンダーからTodo作成 → 必要ならTaskにリンク → 実行 → 完了
パターンC: Notes起点(曖昧なもの・アイデア)
Notes作成(inbox)→ 行動判定 → 必要ならTask/Todo化(inbox → seed)
v1.0では全部パターンCだったのを、状況に応じてA/B/Cを使い分けるようにした。それだけの変更ですが、運用の摩擦がかなり減りました。
デバイスによっても自然な入口は違います。
| 状況 | デバイス | 主な入口 |
|---|---|---|
| 生産活動中(仕事・開発) | PC | Task/Todo直接 |
| 非生産活動中(SNS・動画等) | スマホ | Notes inbox or Journal |
PCで仕事している時はTask/Todoから直接入るし、スマホでSNS見ていて「これいいな」と思ったらNotes inboxに放り込む。この使い分けが自然で、ルールとして明文化したことで迷いがなくなりました。

2. タグ体系の拡充
v1.0では内容タグがmemoとdocumentの2種類でしたが、実運用していると「これはmemoでもdocumentでもないな」というものが出てきました。
具体的には、Claude Codeでの作業ログやリサーチ結果の記録です。作業メモにしては構造的だし、ドキュメントにしては完成度が低い。
そこでv1.1ではlog、plan、researchを追加して5種類にしました。
| タグ | 用途 |
|---|---|
| memo | 作業メモ・雑記・途中経過(自分で記載) |
| log | 作業ログ・セッションの記録 |
| plan | 実装方針・計画・要件 |
| research | リサーチ結果の記録 |
| document | 設計/仕様/結論など、人に見せられるレベルでまとめた資料 |
特にlogとresearchは、Claude CodeからNotion MCP経由で作成されることが多いです。それぞれClaude CodeのSkillsとして作っていて、リサーチはAIにリサーチさせた結果を記録、ログはセッションの作業ログを残す用途です。
documentが体系立った成果物だとすると、logはそのdocumentに至るまでの経緯が辿れるもの。自分の疑問やAIとのやり取りが残っているので、「なぜこの設計にしたんだっけ」を後から確認できます。
あと、状態タグのholdは結局使っていません。inboxのまま置いておいて、定期的に見返して判断する運用になったので、holdの出番がなくなりました。わざわざ「保留」に移すより、inboxに残しておく方が自然だったということです。
3. ボタンの整理
v1.0ではadd_documentとadd_memoでタグ別にボタンを分けていましたが、v1.1ではタグが4種類に増えたのでadd_notesに統一して、タグは手動で付ける方式にしました。
タグ別にボタンを4つ作る案もありましたが、ボタンが増えすぎるのも考えもの。add_notesで作成してから手動でタグを付ける方が、結果的にシンプルでした。
v1.1の運用感
v1.1にしてから2ヶ月以上経ちますが、特に不満なく使えています。
個人運用なので、ルールを緩めにしたv1.1の方が自分には合っています。v1.0の「すべてはNotesから」は、ルールとしてはきれいでしたが、きれいなルールが使いやすいルールとは限らない。
入口を限定しないことで「とりあえずキャプチャする」ハードルが下がった実感があります。仕事中にTaskから直接入れるようになっただけで、だいぶストレスが減りました。
まとめ
v1.0からv1.1へのアップデートを振り返ると、変更点自体はシンプルです。
- Multi-Entry方式: 入口をNotesに限定せず、状況に応じてTask/Todo/Notesを選ぶ
- タグ拡充: memo/documentの2種から、memo/log/plan/research/documentの5種へ
- デバイス別の入口: PCはTask/Todo直接、スマホはNotes inbox/Journal
一番の学びは、入口を限定しないほうが続くということです。きれいなルールより、摩擦の少ないルールの方が実運用では生き残る。
もう一つ、フレームワークは使いながら育てるものだと改めて思いました。机上で考えた設計がそのまま完璧に動くことはなくて、使ってみて初めて見える課題がある。v1.0を作った時は「これで完成」と思っていましたが、2週間で改善点が出てきた。でもそれは失敗じゃなくて、v1.0を実際に運用したからこそ見えたことです。
NLOSはこれからも使いながら調整していくと思います。また大きな変更があったら書きます。




